パートナー。 第5話
一瞬、自分の目を疑わずにはいられなかった
否、こんな状況で疑わない人はいないだろう
―死んだ人物が自分の目の前に現れていたら。
「矢那…ちゃん?ふじのん…?
あ、ははっ、それは同一人物か!笑」
なんて、空中でふわふわ漂いながら笑う彩羽
「何、何、なんなの…!?
彩羽、いろは…?なんで?え…?」
同様せずには居られない自分
本当に訳がわからない
実際に会ったことはないのに、初めてで嬉しいのに
もう相手は死んでいるはずの人間で…。
「[おうちに誰か大切な人が来たみたいだから逢ってくるといい。]
って神様が言ってくださったんだー!だからね、来ちゃった♪」
ふじのんは大切だもんねー、と言って
にへっと笑顔を零す彩羽。
あまりにも非現実的な話だけど、信じないと進まない。
「彩羽…は、私に会いに来てくれたってわけ…?」
「うん!そーだよっ!」
なんて天使的な笑みだろう
死んでいるからなのか…そんなのは分からない
なんせ2人は初対面なんだから。
「私、ふじのんと会ってみたかったよ
会っていっぱい話して、プリ撮って、お茶しながらまた話して…
それが心残りだったからかな、会いに来させてもらえちゃった!
だからね?
今日一日しかないけど、私と話そう?
あ、でもね、周りの時間は止まるらしいから、
一日分だけ話し終わったら…私が現れる前の時間だし、
普通にお家帰れるからね!」
笑顔でも、どことなく悲しそうな表情を浮かべる彩羽は
自分と同い年のはずなのに、どこか大人に見えて
それでいて―儚かった。